リマスター版最大にして最悪のバグ、アンノウンヒールについて解説します。
<経緯>
リマスター版発売1週間後くらいからどれだけダメージを与えても破壊するものが倒せないとの報告が各所より出てくるようになった。
と同時に同現象が発生した時にはカオスディザスターの火炎・冷気のダメージが異常に上昇している事も見つかり、何か関連があるのではと推測された。
当時はプログラム解析まで手を出してる人がおらず、メモリーをモニターしたらどうも回復しているらしい?程度の情報が5chで出ている程度であった。
有識者によるあらゆる推測が飛びかう中、2020年9月きゃんでろろ氏(Twitter)の解析によりアンノウンヒールという強力な隠れHP回復機能がある事が解明された。
あまりの強力さ故に界隈に大きな衝撃が走り、アンノウンヒールは有識者の間ではリマスター版最大最悪のバグとして語り継がれる事となった。
<概要>
破壊するもの戦において、メッセージ後(「アビスが破壊の力で~」)に0~15000の回復量で毎ターン回復する
<詳細説明>
以下はきゃんでろろ氏の解析内容を参考に管理人自身で解析した内容を元にしている。
破壊するもの戦における制御値・補正値(参考)はリマスター版では内部的に制御値がアビスカウンター(以下ABC)、補正値がアストラルカウンター(以下ASC)という名称となっている。
イベント戦闘ではこの二つの数値により回復量の変動する回復機構、「アンノウンヒール」と言うものが毎ターン常に発動している。
この回復量は
MAX((ASCmod16 - ABCmod16) × 100, 0)
となっている。
もちろん、破壊するもの戦以外はASC・ABC共に変化しないため常に0である。
では何故台詞後にのみアンノウンヒールが発生するのか?
それはABC・ASCのターン終了時の加算処理のためである。
詳しい処理は破壊するものの形態以降の仕組みを参考にして頂きたいが、アンノウンヒールの処理前にABCをASCの値に引き上げる処理があるため、台詞前は必ずABC≧ASCとなるので計算上回復量は必ず0となる。
が、台詞後はこの引き上げ処理が停止してしまう為ABC≦ASCとなる場合が発生しアンノウンヒールでの回復が始まるのである。
回復量を見ると最大でも1500なので大した事無いように見えるが、ロマサガ3に詳しい諸氏には思い出して頂きたい、破壊するもの戦は内部的に破壊するものに与えるダメージ量が1/10されているという事を。
アンノウンヒールはなぜか1/10される事無くHPに加算されるため、その回復量は実質的には最大で15000という破格の回復量なのです。
またもう一つ問題があり、この回復は最大HPによる制限を受けずにどこまでも回復するのです。
つまり、最大回復量近くのアンノウンヒールが続けばあっという間に12000/7500みたいな最大HPを越えたHPとなってしまうのです。
そのため、ダメージに現在HPが影響するカオスディザスターの火炎・冷気のダメージは青天井で増えていく事となり、HPが異常な速度で回復していくためそれを越える火力の無いPTではどれだけダメージを与えても破壊するものが倒せないという事になってしまうわけなのです。
もちろん、ABC・ASCの加算には乱数の絡む箇所もありますしASCが低い状態で台詞後に入ればアンノウンヒールの回復量が0になりやすくなるので、何度も挑めばいつかは運次第で勝てるでしょう。
しかしながら、運悪くアンノウンヒールが発生してしまった場合はPTの火力次第ではどうあがいても勝てない状態に陥るというのは緻密な戦略性が醍醐味のこのゲームにおいては致命的なバグと言わざるを得ません。
やり込み勢が苦労する事になるだけであれば一部の人が我慢するという形で納めれたでしょうが、初見プレイヤー等では低火力でボスに挑む事もあり多くのプレイヤーに影響が出る事となるので、スクエアエニクス様にはこのバグの修正を強く望みます。
なお、厳密には獣魔形態の時にもABCをASCに引き上げる処理が停止するためアンノウンヒールが発生しますが、形態変化の仕組み上ほぼASCが8以下で獣魔に入る事から発生率自体が低い上に、獣魔形態はダメージ1/10処理を行わないため最大回復でも1500なので大した影響は無いでしょう。
■参考